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絵の具(2010.5.31) 私は「絵の具」。 今日歌っていて、ふっとそんな思いにかられた。 ラファエロやフェルメール、名画と呼ばれる数々の絵画になぞらえるように、 何百年も時を越えて残っている音楽作品を、人々に伝える為の絵の具。 そのタッチや色合い、それを極めなければその作品の命に関わる。 大学3年生の頃、友人に多く美術学部の人たちがいた。 私は私の表現手段が声であり、音楽という事でジレンマを感じていた。 私達のやっていることって芸術といえる事なのか、と。 すでに人の作った作品を単に再現しているだけで、何かを作り出しているわけでもない。 芸術家を気取っているが、いったい存在価値は何処にあるのか、などと考えていたりした。 今はそこまで演奏家への疑問は持たなくはなったが、 「絵の具」という発想は今までの私に残っていたジレンマを少し和らげてくれたような気がする。 すでにどこかで聞いたり見たりしていた表現かもしれないが、 私の中からふっと湧いたこの歌に対する感じ方は、 今の私にとてもしっくり来るものだった。 額にあたるものもいろいろとあるかと思うが、 「絵の具」に徹する事を目指して行きたい。 |